私の心を彩る君
また胸が痛くなった。それと同時に体温が上がるのが自分で分かる。
嬉しくて、自然に笑みが零れてしまった。
「はい」と言うのは恥ずかしくて代わりに小さく頷く。
それを確認した彼もどこか嬉しそうな顔をして前を向き直した。
待っててね圭人君。この気持ちの名前が分かったらちゃんと伝えるから。
それが、彼と同じ…好き……だったらいいな。
今まで恋愛をしたことないから私は"好き"というのがどういうものか分からない。
記憶を無くす以前の私にあったかどうかも分からないけれど。
今度、杏ちゃんに相談しようかな…。
その前に、杏ちゃんと和哉君にも言わなきゃ。
「圭人君…。」
「ん?何?」
そう呼ぶと優しい瞳が私に向けられる。
「あのね、杏ちゃんと和哉君にも私のこと…話したいんだ。でも一人じゃ勇気が出なくて、一緒にいてくれないかな…?」
これはまだ、私にとって小さな一歩だと思う。
だけど、踏み出すのと踏み出さないのじゃ絶対違う。
大切な人達にはちゃんと伝えたい。私の事を。
「うん。きっとあいつらも海のこと分かってくれるよ。」
圭人君はそう言って爽やかな笑顔を見せた。
あなたが傍にいるなら私はきっと大丈夫。ちゃんと言える気がするよ。
「ありがとう…圭人君。」
そしてまた手を繋ぎ帰途についた。