あの夏のキミへ
1時間もしないうちに果てしなく大きい病院の建物

が見えてきた。

もう足はクタクタで、感覚が薄れている。

心臓はいつもの何倍もの速さで脈を打ち、口を開け

て激しく呼吸する。

ここまで走るのはとてもキツくて苦しかったけど、

ここからでも歩こうとは思わない。

病院の敷地内に入ると、さすが大病院。

駐車場には何百台もの車が止まっていて、レイン

コートを着た交通整備員までいる。

やっと置けたのであろう車の中からはカラフルな傘

をさした人たちが出てきて、次々に病院の入り口に

吸い込まれていった。
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