あの夏のキミへ
二人並んで砂浜の上に座り、白いビニール袋から2人分の弁当とラムネを取り出す。

透明の蓋を開けると、美味しそうな香りが漂ってくる。

付いてた箸をパキッと割る。

「…いただきます」

焼き魚を切り分け、欠片を口に運ぶ。

少し塩が効いていて、温かい味がした。

わたしの冷えていた心にじんわりと染みる。

コンビニで買ったものと自分で作ったものの味しか知らなかったわたしとって、この弁当は特別なものになった。

「…おいしい…」

思わず呟く。

隣からは、そうだな。と返ってきた。
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