あの夏のキミへ
するとそのうち隣の蓮ももぞもぞと起き上がった。

「はよ」

「お…はよ」

…蓮と2人の時間も、終わっちゃうんだ…。

「光、ひどい顔してんぞ」

「はっ?!」

起きて早々なんなの…「だって光はさ」

蓮はいきなりわたしの言葉を遮った。

「…笑ってた方が…いいよ…。」

「へ…?」

「そのほうが…かわいいから…さ…」

さすがの蓮も恥ずかしかったのか、声がだんだんと小さくなっていく。

でもわたしにははっきりと聞こえた。

…かわいいって。

その時の蓮の頬には、心なしか赤みがさしているように見えた。
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