あの夏のキミへ
蓮と別れた後、わたしは真っすぐ家に帰った。

しばらく道を進むと、黒っぽく汚れたコンクリート質の建物が、聳え立っているのが見える。

よくお化けが出るとか噂されるのだが、そんな噂が流れるのも納得できるような見た目だ。

団地の中には公園もあって、いつも子どもたちが楽しそうに遊んでいる。

ここの遊具はさびれていてほとんど使えないため、みんなボールや縄跳びを持ってきて遊ぶ。

子どもたちのきゃっきゃという甲高い声が、団地の建物に反響して余計に大きく聞こえる。

そんな声を耳に、階段を駆け上がって、我が家のドアを開けた。
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