携帯フケータイ。
「恭ちゃん」

そう言って俺は周りを見回す。

おっさんははるか向こうでトラクターに乗ってる。

「何?」

手袋を外して手を伸ばす。

「約束」

くい、と引き寄せて軽くキス。

お互いの帽子が、邪魔だったけど。

てか、どこにそんな勇気あったんだ、俺。


彼女は包丁がそばにあったにもかかわらず、俺を殺すことはせずに照れたように笑った。

キラキラしたその微笑みは、今日の青空より眩しく映る。


キャベツ畑の真ん中、泥だらけの格好のロマンチックのカケラもない場所で、俺達はいつか将来を誓う事を約束した。



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