オレ様探偵とキケンな調査
それに反して募っていくのは、あたしの帯金さんへの気持ちだった。


会いたくて、会いたくて。


笑うと目尻にしわが寄るその瞳に写りたくて。


時々、八重歯を覗かせる唇であたしの名前を呼んでほしくて。


ぶっきらぼうな口調の電話越しの声を聞きたくて。


…ダメ。


あたし…ここにいられない。


身支度を整えて、あたしは冷たい家を出た。


会っても突き放されることは承知だけれど、どうしてももう一度だけ。


もう一度だけでいい。


あたしの身勝手な想いをその耳に残してほしかった。
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