オレ様探偵とキケンな調査
「何?」


「仲直りの握手です」


「変な女。フツーこういうシチュエーション、女はすがって泣くモンだろ」


「そっちの方が好みですか?」


「いいや」


そう言って重ねてくれた大きな手。


そのぬくもりだけで、あたしは十分だった。


「明日」


「え?」


「明日、報告書取りに来い」


「…わかりました」


依頼主と探偵、その関係すらなくなってしまう明日という“時”。


あたしは笑って帯金さんの元を去ろうと心に決めた。
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