オレ様探偵とキケンな調査
少し泣いて落ち着いたのか、明美さんは突然、


「社長、お金を貸してください」


と、切り出した。


「どうしてだ?」


「ヒデを守りたいんだ」


「明美さん、何があったの?ちゃんとわかるように説明して?」


あたしの言葉に明美さんは目を伏せ、涙のたまった目で強く帯金さんを見た。


「この傷、元旦那にやられて、さ」


「旦那?DVで別れた男か?」


「うん…。さっき、家のアパートに来ていきなり“殺してやるッ!”って、ヒデに襲いかかろうとして、ウチがかばったんだ…」


「何で今さら…。別れたのはヒデの妊娠中、3年以上前の事だろ?」


「借金で首がまわらなくなっちまったみたいで、さ…。“金よこさねぇなら殺す”って、脅されて…」


「で?金工面してやって、遠ざけるつもりか?」


「違うっ。そんなことしたら、アイツ、味をしめてまたウチらを苦しめる。逃げるための金が欲しいんだ」


「どこに逃げるつもりだ?」


「わかんないけど…。しばらくはホテル回ろっかな、って…」
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