オレ様探偵とキケンな調査
「椿」


「ハイ」


「オマエん家、空いてるな?」


「ハイ。あたしの所なら大丈夫です」


「ダメッ!みんなに迷惑かけらんないっ!」


「明美ッ!!」


───ビクンッ!


帯金さんの大きな声に、明美さんの肩が跳ねた。


「ホテル回るったって、ヒデにろくなメシも食わせてやれねぇだろ。外でも遊べない、狭い部屋ん中でただ2人でヤツの影におびえてんのかっ?そんな生活、いつまで続く?結局は金が底をついてアパートに逆戻り、ヤツの餌食になる、その繰り返しじゃねぇかっ!」


「だって…だって…!」


「ここにいる全員がオマエを守る。オレ達を誰だと思ってるんだ?“帯金探偵社”の仲間だろ?」


「社長…!…っ…っ…!」


「明美、アパートの鍵よこせ」


「でも…」


「オレとオッサンでヤツのいない隙に荷物を椿ん家に運ぶ。オマエらは先にヒデを連れて行ってろ」


「明美さん、行こ?」


「椿ちゃん…」


「オイ、坊主」


「ハイ?」


「家に着くまででいい、コイツら、守れるか?」


「十分です」


強く頷く颯太くんに大人の男の逞しさを感じた。
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