オレ様探偵とキケンな調査
事務所のドアを乱暴に閉めて、近くのコンビニへ。


頼まれた物と、あたしの分のサンドイッチとカフェオレを買って戻ると、新しくのりのきいたスーツに着替えてひげを剃っている帯金さんが、


「金はやらん。依頼料から後で引いておいてやるよ」


と、頼んだくせに、なぜか上から。


小松さんは税込みでキッチリ1円単位までお金をくれたのに、この男、つくづくだ。


文句の一つも言ってやりたいが、差し出したあんかけ焼きそばとおにぎりを尋常じゃないスピードで食べる帯金さんと時計を見比べる。


「急ぎの用ですか?」


「アンタも早く食え」


「…?」


「もうすぐ旦那、終勤だろ。尾けるぞ」


「え…。今日もですか?」


「バカ。毎日に決まってんだろ。継続的な不倫の場合、毎日の日付と時間、誰とどこで何してるかの写真添付が有力な証拠になる。覚えとけ」


覚えとけ、って…。


あたし、別に、仕事として探偵する気はナイんですけど…。
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