オレ様探偵とキケンな調査
外は寒く、どんよりとたれこめた空は、今にも雪を落としそうな天気。


いっそのこと降ってくれたら。


白い結晶を見ることができたら、気持ちも白くなってくれそうな気がした。


「寒っ」


肩をすくめて前を歩く帯金さんに「この人も温度、感じるんだ…」なんて、つまんない事を考えた。


冷酷、ぶっきらぼう、口が汚くてデリカシーの欠片もない男。


暑いとか寒いとか、帯金さんそのものに体温すらないような気がしてたから、なんだかちょっと可笑しい。


「フフッ…」


「何?旦那の尾行って、そんなに楽しいか?」


「…じゃなくて。帯金さん」


「は?」


「寒いとか、感じるんですね」


「冬だからな」


「コレ」


「んぁ?」


「どぞ」


あたしは買ったばかりの手袋を差し出した。


帯金さんはその手袋の左側だけを受け取り、「小せぇな」と呟きながらゴツイ手にはめる。
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