オレ様探偵とキケンな調査
───モウ終ワリ


震える胸も、熱いキスも、毒ばかり吐く冷たさを装った優しさも。


全て、終わり。


「ケータイ、連絡する。報告書はその時に」


事務的な口調に心が押し潰される。


その場に立っていることすら精一杯のあたしは、後ずさりして事務所を出た。


おぼつかない足で夕方のクリスマスを歩く。


商店街のツリーは名残惜しそうに寒々と立っていて。


明日には片付けられてしまうその時を、寂しげに待っているようにも思えた。


あたしも片付けられちゃった…。


やっと取り戻しかけた心のジングルベルは。


薄暮時の雪の街に消えていった───。
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