優しさ、そして愛
「あ、杏ちゃーん!」
陣地の近くまで行くと私たちに気づいた
薫が手を振ってくれた
前髪を結んでいて
動くたびにピョンピョン跳ねてて
とても可愛い
みんなもそれぞれ着崩したりして
ジャージを着こなしている
学校のジャージをここまで
かっこよく着れることに
驚いてしまった
やっぱり元が違うもんね
「今日の杏ちゃん、
いつにも増して可愛いね」
翠が近づいてきて私の髪を持つと
クルクルと自分の指に絡めた
いつもより近いその距離に
少し緊張した
恥ずかしさに俯くと
誰かに腕を引かれた
「テントに入れよ
そこにいると日に焼けるし
熱中症になるかもしれないだろ」
私の腕を引いたのは
奏斗だった
テントの中のイスに座らされた
なぜかここにだけテントがあって
蓮たちと私と沙奈しかいない
蓮に聞いたらおじいちゃんの配慮らしい