優しさ、そして愛



後ろから蓮に抱きしめられている状態





今更だけど恥ずかしくなってきた






「れ、蓮…

 もう大丈夫だよ?」





竣と翠はトモさんとヤスさんに
連れて行かれた





「…ん」






言葉とはうらはらに
私を抱きしめる腕は
さっきよりきつくなった






あ、蓮からもほんのり
お酒の匂いがする





蓮も酔ってるのかな?






「もしかして、酔ってる?」






「そうかもな…」






『杏に酔ってる』







後ろから耳元に甘く甘く蓮が囁いた





その囁きは水のように私の身体を巡り
私の感覚を麻痺させる






蓮に溺れてしまいそうになる






「…すぅ」






…あれ?






後ろから寝息が聞こえる






もしかして寝ちゃった??






せめて私を離してから
寝て欲しかった…





でも…





「気持ちよさそうだからいっか」






温かい蓮の温もりに包まれながら
騒がしいけど楽しそうなみんなを
眺めていた







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