先生・・・。
ガチャッ。

『千遥。気持ちよかったか?』

『はい。ありがとうございました』

『もっ、敬語やめてよ。昔みたいに普通にして。気づいとるんやろ?千遥?』

千遥は確信した。

世名センセが、世名コーチだったってことを。

ここで会ったときに懐かしい感じがしたのはこういうことだったのだ。

『世名コーチ』

『千遥』

千遥は昔の気分に戻った。

『撫子たちの夢やったんやな』

『うん。絶対思いだしたくなかった』

『ごめんな。うちがバレーの話なんかするから』

『世名コーチのせいやない。それより会えてうれしかった』

『2年ぶりやもんな。あの後も撫子たちになんかされたか?』

『撫子たちは、あの後親戚に引き取られた』

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