*魔法の香り*

 どうしよう

 どうしよう……



 どうしようっ!!!!





「……せ、せん、ぱい?」





 い、イヤじゃない、決して



 ただ心の準備が

 まだ全然出来ていなくて

 やっぱり



 困る……。





「……」





 でも

 まだ帰りたくない自分もいて



 どうしよう

 頭の中、ぐちゃぐちゃだ。





『麻衣、ヤッたモン勝ちだよ!?』





 不意に

 由希の最後に言ってた言葉が

 脳裏に浮かぶ。





「っ!!??」





 ま、まさか

 由希の魔法ってそう言う魔法?



 初めてのデート

 優しくて落ち着いた先輩が

 イキナリこんなこと言うワケ……





「三月?」





 ドキンッ☆





 あっ……



 顔を上げたらきっと

 もう

 戻れない気がする。



 ど、ど、どうしよう



 手が震えてきた。





「……」





 先輩の手が

 あたしの頬をすくいあげて



 彼の唇が……





「……っ」










 もう

 拒めない



 由希の魔法の香り

 予想以上に

 効いちゃったのかも。










 fin

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