生意気なキス
「それが、みんな彼氏がいたりとか、予定があるって言われちゃって、先輩しか頼れる人がいないんですぅ。

男性陣は大手商社の超エリートで、しかもイケメン揃いらしくってぇ、絶対逃したくないんです!

お願いします、せんぱぁい」



さっきまで陰口を言っていたかと思えば......。
今度は先輩しか頼れる人がいないって、調子のいい子。


必要以上にぶりぶりした話し方には、やはりイラっとするけれど、その変わり身のはやさにはある意味感心する。


この手のタイプの子は、学生時代から何人か知り合いにいた。

彼女たちは頭が悪そうに見えるけど、実はそうでもなくて計算高くて。

狙いを定めた男には、自分の魅力を最大限に魅せるのが上手い。


こうなりたいわけじゃない。
彼女たちみたいな女にはなりたいとは思わない。

けれど、愛嬌があって、強欲に目的を達成する姿勢は、その点については見習うべきところもあるのかもしれない。

私にはできないことだから......。



「先輩、彼氏サンと別れたんですよね?
行きましょうよー、イイ出会いがあるかもしれませんよ?

クリスマスに一人って、寂しくないですかぁ?」



どうすべきか少し考えていたら、社員食堂で他にも人がいるのに、彼氏と別れたとバラされたばかりか、よけいな一言まで付け加えられた。






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