生意気なキス
「えー、俺かっこいいですか?
いやぁ照れるなぁ。

あの子たちより、おねーさんみたいな可愛い人が好き」



美人だ、肌が綺麗、容姿を誉められることはそれなりにあるけど、可愛いなんて聞き慣れない言葉を言われたかと思えば。

巻き毛ちゃんが甘えたような話し方で、照れたように、てへと愛嬌たっぷりに笑ったのを見て、鳥肌が立ちそうだった。


女のぶりっこでさえ大嫌いなのに、男の、しかも社会人のいい大人のぶりっこなんて、不快極まりない。


この子、普段からこんな感じなの?
酔っているからなのか、元からこうなのか分からないけど。

こんなの、が、近藤さんの言葉を借りれば"超エリート"だと言うのなら、日本の未来が心配になる。


エリートの定義がいまいち分からないけど、私のイメージでは、落ち着いた大人で、もっとこう......。



「おねーさんも彼氏と別れたんですよね?
ちょうどいいね」



一人で悶絶していると、何がちょうどいいのか......、巻き毛ちゃんはまたニコニコしていた。


誰からその情報を聞いたかなんて聞くまでもなく、一人しかいない。

本当におしゃべりな後輩。
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