マンガみたいな事が起きました。
3日目の今日は、
バスで奈良のお寺巡り第二段。
具合が悪いという嘘をついて、
あたしは渉の隣に座っている。
後ろはさつきと大雅。
裕貴くんとはあれから会話なし。
「舞さん、大丈夫ですか?」
教師面の渉があたしに顔を近付けて聞くから、その距離の短さに恥ずかしくて顔が熱い。
「気にすんなって」
小さい声であたしに言ってくれたみたいだけど、気にしないわけない。
せっかくの修旅なのに
気まずい空気作っちゃったなぁ。
ふと裕貴くんを見ようとすれば、
渉にさり気なく塞がれた。
「俺だけ見てりゃぁいいんだよ」
そう言って。