【企画】キミへの合図はサクラの音色
「あれは、桜笛と言って私が幼稚園のときから好きな遊びで……」
「桜笛、か」
陽太くんは桜の木を見つめてつぶやいた。
「桜笛、昔好きだった男の子が教えてくれた遊びで……まぁ、その男の子どこかに引っ越しちゃったんだけどね」
「へぇ~……俺もやってみようかな」
桜を空中キャッチして、桜を唇に当てた。
ピーピ―――
「……っ」
桜で音を鳴らす陽太くん。
その様子はなんだかひーくんみたいで……。
懐かしい気持ちになった。
「すごい!なんでそんな上手く吹けるの?」
「別に。普通に吹いてるだけだけど。初奈が下手過ぎなんじゃねぇーの?」
そう言ってクスッと笑う。
「なっ!ひ、ひどい……」
「冗談だって」