【企画】キミへの合図はサクラの音色
「初奈は……桜、好き?」
「うん、好きだよ!桜笛できるもん!」
どの季節が好きかって聞かれたら絶対“春”って答えるもん。
「そんなに桜笛好きなのか」
「うん!だって私の初恋の思い出だから……」
ひーくんのことは絶対に忘れたくない。
私に初めて恋を教えてくれた男の子だもん。
「へぇー、そんなにソイツのこと好きなんだ?」
「今もたしかに心のどこかで好きなのかな……もうその子は私のこと覚えてないかもしれないけど、もう1回、会いたいな」
きっとひーくんはもう身長も高くなって、大人っぽくなってるんだろうな。
真面目そうだったからきっと進学校とか行ってるんじゃないかな。
「………って、私なにベラベラ自分の初恋の話なんかしちゃってるんだろ!ご、ごめんね!」
今日初めて喋った人に初恋の話をするなんて、私ってばバカだ……。
「いや、全然。その初恋の相手と、また会えたらいいな」
「そう、だね。でもちゃんとした本名知らないからなぁ……」
下の名前は知ってたのかもしれないけど、苗字まではなぁ……。