危険なアイツと同居生活
「唯ちゃん!」
体育館裏の狭い道に入った瞬間、呼び止められる。
ドキドキして、嬉しくて、あたしは満面の笑みで声のする方を見た。
彼は、もはや使われていないような、古びたベンチに座っていた。
ふんわりとした、メッシュの入った茶色い髪。
碧は決して見せない、小動物のようなあどけない瞳。
口元には嬉しそうな笑みを浮かべている。
そして、かっちりしたジャケットに、ストライプのシャツ、細身のチノパン。
首に巻いた茶色のストールが揺れていた。
私服までおしゃれなんて。
やっぱり、芸能人は違う!!
「ごめんね、急に呼び出して」
そう言って蒼は困った顔をした。
「お返しはちゃんとするからさ!
だから……
俺を助けて!」
俺を助けて!
その言葉に、返事をする間もなかった。
蒼はぎゅっとあたしの手を引く。
どきんと心臓が脈打つ。
触れられるだけでおかしくなりそうなあたしを、蒼は容赦無く引っ張って校外へ出た。