地蔵男子くんへ……

 「軽い女(あのはつげん) 」 以来、君と話さなくなった。話したくなかったと言ったほうが正解かもしれない。色々な人から、体育館脇の部室棟の前で、彼女とキスしていたという話を聞いたから。しかも、君が所属している音楽関係のサークルの部室の前ということも。

 万が一、あの告白が成功して付き合っていたとしたら……と考えてみた。バカップルになるかな??

 世間(特に親世代)から非常識という目で見られたくないから免れたい。そうなると、フラれてよかったんだって、自分に言い聞かせた。

 誰かに理解してほしくて、母のバレーボールに行って、仲間の女子中高生姉妹に愚痴を聞いてもらった。愚痴でなくても、間違ってないと証明してほしかった。同じバレー仲間でも、自動車関係の専門学校に通う1歳上の男の子3人組には聞かない。同性じゃなきゃ、理解してもらえないと思い込んでいたから。共感してくれるって信じていたから。

 アーチェリー部に所属した私は、3年生の先輩方に全てを話すと「重い女だよね」と言われたこともあって、同性ならって気持ちが強かったかもしれない。


 そんなこともあって、君と擦れ違う時は一緒にいた友人に軽い女か確かめた。勿論、同じ人ではなく、毎回違う人に聞いた。君も気付いていたでしょうね。私が軽い女ではなく、「腹黒い女」ということに。それを2~3週間続けた。よくわからないけど、こうするしか復讐できなかった。ささやかな抵抗だった。ガキがやるようなことを18歳の私はした。

 でもね、君へ片思いして告白してフラれるまで、文学の時間に短歌を作って楽しんでいたことは認めようかな。


・授業中 隣で寝ている 君を見て
  1人「好き」と 呟いてみる


・好きだった 週4回の 6時間
  あなたと受ける 大学講義


・好きだった 金曜の午後 4時30分
  君と帰れる 学バスと電車


・言わないで 「軽い女」の 一言に
  苦しめられる 18の夏


・見たくない 話したくない 会いたくない 
  週4回も 君といるなら

 
 普段はおしゃべりな私だけど、告白はできなくて短歌で想いを表現することはできる。
短歌製作の楽しさを実感していたからね。


 そして、補講授業 → 前期期末考査が終わって、大学生生活初めての夏休み♪♪

 夏休みは、授業終わりや週末を利用して、2月から5月まで教習所に通った。本試験は夏休みに……と計画していた。免許取得まで3週間近く、免許センターに通った。お盆には、お墓参りに行った。

 メインとはなんと言っても、文学&ゼミ合同の北海道旅行。旅行前に顔合わせがあった。でも私は免許取得まで外出禁止令がでていたため、欠席。免許が取得できなければ旅行もキャンセルなんて、父が言い出すから必死に勉強して、旅行に行く3日前に何とか取得した。

 顔合わせに参加した友人から「社会人学生と先輩が多かったよ。イケメンもいたよ」とメールで教えてもらって、楽しみでしかたなかった。

< 2 / 13 >

この作品をシェア

pagetop