恋色花火
脳がうまく機能しなくて、声が出ない。
だってこれ……ユウヤの携帯でしょ……!?
『ごめんなさい……名前、男性にもある名前でしたので……ユウヤ君の友達かと思って出ちゃいました……。
ユウヤ君、今ちょっとここにいないんですけど……シャワー浴びてて』
弱々しいその声は、紛れもなく女の子のもの。
あたしはどんどんパニックに陥るばかり。
「そ、うなんですか……いやあの、間違えて電話掛けちゃっただけなんで!
ごめんなさい……気にしないで」
『私のほうこそ……すいませんでした』
彼女のその言葉を聴き終わるより早く、あたしは電話を切った。
指先まで力が入らなくて、スマホがベッドに落ちて間の抜けた音を出す。
……女の子。
鈴の鳴るような……可愛らしい声の女の子。