恋色花火


『シャワー浴びてて』ってことは、どちらかの家にいるのだろう。


どうして家に女の子といたりするんだろう。


それにどうしてもその単語は……高校生にとって最悪のシナリオを作り上げる。



その子とどういう関係なの……?


もしかして……去年の花火大会で見かけた子だろうか。



どういう関係にせよ……彼女はあたしなんかよりよっぽど彼と親密な関係にある。


ユウヤの…………恋人?




ナミの言葉で浮かれてた心臓に、氷の槍が突き刺さる。


その槍は一向に解ける気配はなく、むしろあたしの心を凍らせていく。



もう座っているのも辛くなって、ゆっくり全身の力を抜いていく。


肩の辺りにスマホのケースが当たって痛かったけれど、それをどける気にもなれなかった。




気がついたら、夢の中。


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