愛されることの奇跡、愛することの軌跡
『じゃぁ聞くが、学級委員としての能力を自覚しておきながら、何故今まで学級委員にならなかったんだ?東都を目指すとなると、今から来年1月のセンター試験までが最大の勝負になるはずの大事な時期に、何故学級委員になりたがってるんだ?もう、今更変えられない。事務局にはとっくに金澤の名前で届けてるからな』
『それは…内申点を上げたいんです』
『国立大の東都に内申点なんて関係ないだろ?』

『と、とにかくうちの親は、通知表の内容を昔から気にするんです』
『ふぅん、うちの親ねぇ…そんなに教育熱心な親なのか』
『は、はい』

健吾さんの声がさらに冷淡に感じるのは、声だけで、顔を見ていないせいだろうか。

『だとしたら、その爪は何だ?』

確か、ユウコちゃんの爪はネイルサロンで手入れをしている。

今日は大きなハートをあしらった、スワロフスキーのキラキラなデザインにしてもらったんだと休み時間に自慢してたっけ。
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