愛されることの奇跡、愛することの軌跡
『ね?先生、やっぱり分かりますぅ?これ、時間もお金もかかってるんですよ。おしゃれの価値が分かるのはさすが先生ですね』
『…君がそんなネイルができるということは、親が相当小遣いやってるんだろうな。でも、そんなネイルしたって、いくら学年でトップだって、君の人としての中身はその磨き方に追い付いていない。俺に媚びるのも、人に負けたくないから俺をなびかせて、恋人同士になったとか言って周りに自慢したいからだろ?』
『…』

ユウコちゃんの声が聞こえない。

『それにこの面談には遅刻するし、さっきは金澤のこと、"金澤なんか"と上から目線。そんな大森の第一印象なんて、良いわけないよな?』
『…』
『でもな、第一印象が良かろうが悪かろうが、俺は大森の担任だ。そして、クラスの人間関係や個人の人間性をある程度把握する必要がある。だから、単刀直入に聞くが、君は、金澤のことが嫌いか?』
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