愛されることの奇跡、愛することの軌跡
『謝れないのか?』

沈黙の中、静かに健吾さんの声が響いた。

『私は、金澤さんに対して言ったわけではありません。金澤さんの容姿の印象を、先生に述べたまでです』
『屁理屈だな』
『もう、金澤さんの時間がなくなります。私は帰ります』
『金澤は月曜日にするよ。金澤、いいか?』
「はい、私は構いません」

月曜日の方がゆっくり健吾さんとお話しできそうだし、ユウコちゃんには感謝、と思ってしまったのは内緒。

『先生』

ユウコちゃんは私を睨みながら話す。

『私、このこと親に言い付けます。そうなったら、分かってるでしょ?』
『そう言えば、君の親はPTAの会長だったか、同窓会の会長だったか』
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