愛されることの奇跡、愛することの軌跡
『上野にある銅像?犬の散歩を初めてした人物とか』


『おいおい。犬の散歩はそれこそ江戸時代の"生類憐れみの令"の頃からは少なくともあったと思うぞ』


教室中に笑い声が響いた。


『元々西郷は、薩摩、今の鹿児島県の下級藩士で、大久保利通や木戸孝允と並んで"維新の三傑"と呼ばれた人物。つまり明治維新の授業の時にも名前は出ていたと思うけど、倒幕と維新に尽力した』


健吾さんはこの手の話をする時、なぁんにも見ないで話するんだよね。それがすごい。


戦争に至る経緯について黒板を使いながら話し続ける健吾さん。


政府内のいざこざから、最後は熊本城の強襲や九州各地で戦いが繰り広げられ、政府軍と西郷軍が戦うが、政府軍が勝利したことで西郷は切腹し、自害した。


『両軍での死者が12000人を超えるものだったらしい。同じ日本人同士の戦いで殺し合っているんだ。今となっては信じられない話だよな。戦国時代なんてしょっちゅうだったわけだし』
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