愛されることの奇跡、愛することの軌跡
『とりあえず、その棚にこの本を入れて』
「分かりました」

先生の指示に従って私は片付けを始めた。

片付けしている間、沈黙。
空気が重いなぁ…

私が片付け終わって

「先生、終わりました」

と言うまで先生も黙ったままだった。

『よし、ありがとう。助かったよ』
「私、帰ってもよろしいでしょうか」
『ちょっと待って。手伝ってくれたし、強引な流れで学級委員にしてしまったから、ご褒美にひとつ秘密を教えてあげるよ』
「は、はぁ…」

私はこの準備室から早く出たいのに。

『今日決める時、出席取った時の返事で金澤に決めたと言ったろ?』
「はい」

私は憂鬱だけどあの時の返事はマズかったと反省して先生の顔を正面で見つめて今は返事をした。

『あれは、嘘だ』
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