愛されることの奇跡、愛することの軌跡
「え?」

先生は表情を変えないので、意図が見えない。

『教室に入る前から、金澤にしようと決めていたんだよ』

はい?

「どうしてですか?
『どうしてって、言葉の通りだよ。教室に入る前から金澤に決めていた。これ以上の意味はない』

先生はすると、机の上にあるパソコンをマウスで操作し始めた。

「そうではなくて、なぜ私なのか?という理由を聞きたいのです」
『ふぅん』

パソコンの画面を見る目線は変わらず、マウスのカチカチという音だけが準備室に響いた。

『残念だね。せっかく種を撒いておいたのに、次の再会は教師と生徒だったとはな』
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