愛されることの奇跡、愛することの軌跡
『可愛いね、あなた』


と頭を撫でられた。


『気安く触るな。大体お前のせいで1時間も父さんとの話が遅れたんだぞ』


え?


ということは、この人が、健吾のお姉さんの実穂さん?


『驚いたみたいね、フフフ』


あ、この話し方と声、良美さんと全く同じ。


少し早口で、少し高めの声。


親子であることを感じさせるけど、それに気付くのは私くらいかな。


『健吾、紹介してよ』


『ったく、玲奈、こいつは俺の姉の実穂』


「金澤玲奈です。よろしくお願いします」


『玲奈ちゃん?また今度、ごはん食べに行こうね』


「はい、ぜひ!」


『ほら、行くぞ!』


"お気をつけて"とお辞儀をする斉木さんと"またね"と大きく手を振る実穂さんに見送られ、私達は健吾の実家を出発した。
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