愛されることの奇跡、愛することの軌跡
『御曹司は御曹司なりの悩みがありそうね。家のしきたりとか、親のレールに乗っからなきゃならないとか』


「健吾はそれでも、"教師をやらせてもらえただけまだマシだ"って言ってるけどね」


『うちの学校にも、そういう人いっぱいいるんだろうね』


そう。


ナルガクはいわゆる"セレブ校"。


親がお金持ちじゃないと、入れない。


うちなんて、あの理由があるにせよ、私がそんな環境に身を置いていることが不思議だ。


ちなみに美郷の家はお父さんが開業医。


でも本人は全く継ぐ気なし。


「美郷は、将来何になりたいの?」


『将来かぁ。テツのお嫁さん?』


「専業主婦ってわけね」
< 369 / 548 >

この作品をシェア

pagetop