愛されることの奇跡、愛することの軌跡
「私、健吾のことをそれで軽蔑はしません。けど…同情もしません」


私は、ここまでの人生を歩んだ今の健吾だから好きなんだし、同情で人を愛するなんて、そんな中途半端なことはできないよ。


同情と愛情って全く違うものだし。


それに、私はそれらを使い分けられるほど器用じゃないもん。


「私が健吾にあげたいのは、愛情と感謝と敬う心です」


私の言葉に、実穂さんが笑った。


『何か、理想の夫婦像を地で行ってるみたい』


「生意気、ですか?」


実穂さんは首を横に降った。


『ううん。むしろ誉めてるのよ。健吾は玲奈ちゃんに出会えて幸せだろうな。良美さんでもダメで、友人たちもダメで、きょうだいや父さんでも勿論変わらなかった健吾の心を、あなた1人で変えてしまったんだもの』
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