愛されることの奇跡、愛することの軌跡
実穂さんとのおしゃべりは楽しかった。


そんなにワガママで自己チューなの?


私には、優しいお姉さまにしか感じなかったんだけどなぁ。


お店を出た私達は、夕暮れの空のもと"車の迎えがあるから"と大通りに向かう実穂さんと別れ、私は電車に乗った。


私は電車の中で考えていた。


実穂さんのこと。


"健吾とは話し相手にもなってくれない"と言ってた割には、健吾のことにやけに詳しくて。


女の子と遊ぶ話なんて、普通姉にするかなぁ。


私も"姉"だけど、いくらオープンとはいえ、陸とそこまで話をしない。


もし、実穂さんの知るここ数年の健吾のことを、健吾をよく知る他の誰かから聞いた話なのであれば…


そこまで知ってるのは、きっと健吾と相当近しい人。


そして彼は"かつての健吾と同じ、愛を信じられない人"。


実穂さんの想い人って、誰だろう―
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