愛されることの奇跡、愛することの軌跡
「ほぼ、全部聞いたかな、沼尻との話」


唇を離して、薄暗い明かりの中で俺は玲奈を見つめる。


「でもアイツもバカだよな。よりによって俺に"青春の思い出"とか言っちゃってさ。俺に対して火に油を注ぐようなものなのに。テツに協力してもらっちゃったよ」


『しょうがないじゃん、トムは知らないんだから、私達がこういう関係なこと』


と言うと、玲奈からキスをしてきた。


「俺、成瀬川の人間であることがバレてしまうとマズいから、文化祭の最中は出歩けなかったんだよ。OBとか来るだろ?」


もどかしかった。


きっと沼尻と歩いて回ってるし、最後に玲奈に告白する展開も何となく見えていた。


でも結果として、こうして屋上で極上の味を堪能できてるわけだから、沼尻には感謝だな。
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