愛されることの奇跡、愛することの軌跡
「おーい、青春の思い出は終わったか?」


『先生!』


ふたりとも驚いた声を出した。


『沼尻、徳重先生が呼んでるぞ。明後日のことじゃないか?』


明後日は、学部決定通知が出される日。


でも実は全然テツが呼んだのは関係ないけどね。


『え?行ってきます』


沼尻は走り出しそうだったので、


「鍵返して。閉めておくから」


沼尻から鍵を受けとることを忘れなかった。


沼尻がいなくなったところで、俺は内側から鍵をかけた。


「ここの鍵、本当は内側から鍵はかけられない構造なんだけど、俺は、知ってるんだな」


『ここで悪いことしてたんでしょ』


「サボるにはちょうどよかったよ」


俺は、玲奈をドアのすぐ横の壁に寄りかからせた。


『おとといの、健吾と今同じ心境かな』


「分かるよ。俺に会いたくなったんだろ?」


俺は玲奈の顎を上げ、唇を合わせる。
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