愛されることの奇跡、愛することの軌跡
私達は事務室の窓口で必要書類を受け取る。


『俺は、このみから目が離せないから、お前が代わりに学校へ電話して』


「はいはい」


『何よぉ、人を子供扱いしないでよ』


『子供だろうが!』


…そんなやり取りを横目に私は報告の電話を発信した。


"はい、成瀬川学院高等部です"


…健吾の声だ。


「3年3組金澤です。健吾…先生ですよね?」


"そうだよ。お疲れ様"


周りに他の先生がいるはずなので、ここは生徒として話さなくちゃ。


「金澤玲奈、東都大学文科二類、同じく上杉陽平、東都大学理科三類、ともに無事、合格しました!」


"よっしゃ、おめでとう!"


健吾の声で合格が判断できたのか、周りの先生たちの拍手の音が聞こえる。


"良かった。おめでとう"


改めて落ち着いた声で言われた。


「ありがとうございます」
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