愛されることの奇跡、愛することの軌跡
『今日は随分大人っぽい格好だね。最初は誰だか分からなかったよ』


「井上さんこそ、1回しか会ってないのに、よく私の顔が分かりましたね」


『これでも僕はホテルマンの端くれだからね』


車は成瀬川邸の門に入る。


駐車スペースにいる車を見る限り、健吾はまだ来ていない。


玄関を入ると、斉木さんが待っていた。


『お久しぶりです、玲奈様』


「ご無沙汰してます、斉木さん」


『お元気そうで何よりです。あと、東都大の合格、おめでとうございます』


「ありがとうございます」


一通りの挨拶をすると、斉木さんの案内で前に来た応接間とは違う、大きなダイニングに通された。


そこには既に、お父様と多分その奥様、色んな方が座っている。


その中に、何とか知っている顔がいた。
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