愛されることの奇跡、愛することの軌跡
「剛先輩、お久しぶりです!」


私は会えたのが嬉しくて、早いスピードで深く頭を下げた。


『金澤、久しぶり。まさかここで君と会うことになるとは思いもしなかったよ』


剛先輩はナルガク大の経済学部2年生。


『そうか、玲奈ちゃんは剛と知り合いだったのか』


『吹奏楽部の後輩だからね』


「色が黒くなりました?」


もっと白い肌だったはずの剛先輩。


『スノボーでね。雪焼けってとこかな』


『そこにさらにはサーフィンでこれから焼けるから、真っ黒焦げになるよ。あ、玲奈ちゃん、初めまして。健吾の兄の亮輔です。隣は…』


小柄な女性が立ち上がる。


『亮輔の妻の千寿(チズ)です』


『あと、私の横にいるのが妻の貴子(タカコ)だ』


貴子さんは会釈の後、私に向かって微笑んでくれた。


「金澤玲奈です。よろしくお願いします」


私は必死にお辞儀した。


緊張するな。この空気。
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