愛されることの奇跡、愛することの軌跡
*最後のLHR
そして、迎えた4月1日。


私達3組の生徒は、全員制服を着て教室にいた。


遠くで、部活動をしている在校生の声や音は聞こえるけど、春休み中の校舎は、基本的に静か。


いつもの授業のように、チャイムは鳴らない。


午前10時前、教室のドアが開き、健吾が入ってきた。


格好が思っていたよりラフ。


薄い黄色のシャツに、濃い緑のチノパン。
本当に、今日で最後?と思ってしまうくらい、いつも通りの健吾"先生"。


『始めるぞ。学級委員』


「起立!礼、着席!」


今にして思えば、号令がかけられるのって、学級委員の"特権"だよね。


最初はすごく嫌だったのに…


『では、出席を取ります。青木太郎、入江潤一、上杉陽平…』


出席取るのも最後だよね、健吾。


『金澤玲奈』


「はい!」


私は貴重なその場面で、万感の思いで返事した。
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