ライトブルー
「……どうしたんですか?」
彰吾はケーキを食べ終えると、
「……悪かった」
と言ってロビーから外に出ようとした。
「待ってください!」
反射的に私は口走っていた。
「……ここのケーキ、おすすめなのって何ですか?」
しかし彰吾はついにホテルを出ていってしまった。なぜか、私のほうが悪いことを言ってしまったように思えて仕方なかった。
帰り際、ふと暗い海辺を見ると、彰吾が独り、ぼんやりと海を所在無さげに眺めているのが見えた。その背中は、なぜかいつもより小さく見えた。