ライトブルー



 それから数日後、いつものようにくたくたになって、やっと帰ろうとしたときだった。

「楓、バイト終わったかー?」

 聞き覚えのある声がロビーの奥から聞こえてくる。私は振り返ってその声の主を睨んだ。

「ふざけんな!」

 私は持っていたバッグを投げつけた。彰吾だった。

「乱暴な奴だなぁ。せっかくひとがケーキ食ってんのに」

 彰吾はケーキ片手に飛んでくるバッグをかわした。

「あんた最悪!」

「は? バイトするって決めたのはおまえだろ? 俺はただ誘っただけだ」

「何で私なの!?」

「あんまりでかい声出すな。ここは職場だ」

「それにしても良いご身分ですね。仕事帰りにケーキなんか食べて」

 私は思い切り皮肉を込めて言った。

「おまえも食うか?」

「結構です! ひとをからかうのもいい加減にしてください!」

「……からかってなんかいねぇよ」

 その瞬間、彰吾の表情が一変した。


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