ライトブルー
「なんか彰吾らしくないこと聞くね」
「そういう日もある」
彰吾は視線を窓に向ける。
「彰吾」
「ん?」
「私のこと、好きになってくれてありがと」
「そんなお別れの言葉みたいなこと言うなって言いてぇんだよ」
「お別れの言葉じゃない。感謝してんの。ていうかこのガトーショコラ、超美味しい」
「……ったく」
彰吾の表情がようやくゆるんだ。
「大丈夫。毎日メールするから。彰吾もたまには向こうに遊びにおいでよ」
「俺は都会は苦手だ。おまえがちょくちょく戻ってこいよ」
「そんなこと言われても私だって忙しいし。あ、そろそろ帰んなきゃ。お母さんに叱られる」
「帰んのかよ? 晩飯食いに行こうと思ってんのに」
「え? 明日がバイト最後だから明日行けばいいじゃん」
「……俺、明日出張だから」
しばらく沈黙が流れた。
「そっか、じゃあ……」
「また戻ってこいよ」
何だかまた私が悪いことをしてしまったような、複雑な心境だった。
――でもね、私だってほんとは寂しいんだよ。絶対言わないけど。