空の誓い、海との約束
第六王子の存在価値
 国民だけじゃなく、家族にも存在を忘れられていた第六王子の僕が、隣国レシュノルティアの王宮で開かれる夜会に招かれた。

 ま、夜会なんて銘打ってはいるけど、早い話が女王陛下の婿探しだ。僕以外の王子は皆既婚者なので、未成年ではあるけど唯一独身の僕にお声が掛かったらしい。

「いいか。これは命令だ、シエル・リバノティカ。なんとしても女王陛下の心を射止めて来い。それが出来てこそ、お前に存在価値があるというものだ」

 大層お久しぶりにお目もじした父上の第一声はそれだった。

 なぁにが存在価値だ。『シエルが女だったら使い道があったものを』とか言って僕の存在を無視していたくせに。

「最善を尽くします、父上」

 反抗しないのは、ひとえに面倒くさいから。

「お前は我が国ペルビアナと彼の国レシュノルティアの架け橋になるのだ。その自覚を持って行動する様に」

 流石は父上、なぁんてナイスな美辞麗句。その実、自分達の権力に色を添える為、他国の王族に血縁を作る“種馬”になれって事だろ。

「頑張れよ、シエル」

 二十歳上の第一王子に肩を叩かれた。お腹周りに王位後継者の貫禄がありますね、兄上。

「しっかりやって来い」

 何をやって来いって? その場で女王陛下と既成事実を作って来いってか?

「最善を尽くします、兄上」

 外面だけは殊勝そうに見せつつ、腹の中で笑ってやった。

 十三になったばかりの、春の日。



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