空の誓い、海との約束
「陛下は、今でも彼を想っておられるんですね」

 僕の呟きに、陛下は寂しげに微笑んだ。

「……好きよ、今でも。一日だって忘れた事は無いわ」

 心(しん)の辺りで重ねられた両手。きっと、彼は昔と変わらずそこに居る。今も、これからも、ずっと。

「さ、私の話はこれでおしまい。今度はシエルの事を聞かせて頂戴」

 こちらに話を振られるとは思ってもみなかった僕は慌てた。

「え、ぼ、僕の事、ですか」

「ええ」

 陛下は頬杖をついて僕に笑いかけた。途端に心臓が忙しく動き始める。頬が赤くなっていくのが自分で分かるほど。

「街で会った時から気になってたの。お忍びで、しかも一人で街を歩く王子って珍しいでしょう? ペルビアナの第六王子は噂と違って大物ねって、ダグラスと話してたの」

「えっ」

 僕は狼狽えた。陛下は最初から僕の事に気付いていたのか。

「ど、どうして分かったんですか」

「すぐに分かるわ。チョーカーのボタンにしっかりペルビアナの紋章が彫られていたでしょう」

「え」

 あれはただの花の模様じゃなくて王家の紋章だったのか。自国の紋すら覚えていない自分が恥ずかしくなった。

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