空の誓い、海との約束
◇ ◇ ◇
そう、要らなかった、シエル(ぼく)なんか。
心に刺さったままの硝子の破片。体のどこかが痛くて、ぎゅっと手を握る。
「僕は間違って王家に生まれてきました。ううん、生まれてきた事自体が間違ってたんです」
「何故、そう思うの?」
陽だまりみたいな温かい陛下の声に、眼の辺りが熱くなる。本当の気持ちを話そうとすると涙が出るのは何故なんだろう。
「瞳の色のせいで色々疑われたり、忌み子だと言われたり……母も僕なんか欲しくなかったって言ってました。父も、せめて女なら利用価値があったのにって。僕は……」
両親に愛されていない。価値が無いから。忌み子だから。
膝の上で握った手の甲に、重さに耐えきれなくなった本心が落下した。
「王子としても子としても何も期待されていないのに、どうして我慢ばかりしなきゃいけないんだろう。そう嘆いていじけてたんです。しきたりだの立場だのに縛られるのが嫌になって、何もかも壊して、自由になりたかったんです」
僕は涙が零れるまま、俯いていた。
「王子じゃなきゃ、海色の瞳じゃなきゃ、もしかしたら……」
父や母に愛してもらえたかもしれないのに。
最後の言葉は声ではなく嗚咽になった。