空の誓い、海との約束
 同じ瞳の彼――リフから見たら、僕は救い様もない我儘な子どもなんだろう。甘えるな、と叱られるかもしれない。

 僕は誰かに踏みつけられた事も無いし、死にかけたことも無い。

 手に出来ないものばかり欲しがり、出来ない事ばかり考え、自分なんかと卑屈になっていただけだ。

 ふわり、と頭の上に温もりを感じて僕は顔を上げた。気づけば向かいに居たはずの陛下がいつの間にか僕の隣に居て、頭を撫でてくれていた。

「シエルはずっと、寂しかったのね」

 マリーと同じ優しい声に、新たな涙が溢れ出す。

「お父様やお母様がどうしてそんな事を仰ったかは分からないけれど、そんな風に言われて傷付かない人はいないわ。辛かったでしょう」

 陛下は僕の眼を真っ直ぐに見つめて言った。

「私は好きよ、シエルの瞳」

 好きよ、シエル。母にそう言ってもらいたかった。

 ぼろぼろ泣き続ける僕を、陛下はそっと引き寄せてくれた。僕の存在ごと肯定してくれている様な温かい腕が嬉しくて、余計に涙が出た。

 宥めるように背をさする優しい掌は、幼い陛下を宥める彼の姿を思わせた。


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