空の誓い、海との約束
海の願いに隠されていたもの


 ◇  ◇  ◇

「ではその旨、本日中に本国へ通達致します」

「待て」

 戴冠式を目前にした姫の帰国に関する打ち合わせの後、退出しようとしたリフを私は呼び止めた。

 取っ手に掛けた手を引き戻し、奴は振り返る。

「何でしょうか」

 真っ直ぐこちらを見ている海色の瞳に、私は胸の内に居座っていた疑問を投げかけた。

「一つ聞きたい事がある。陛下に召抱えられる以前、お前は本当に賊だったのか」

 一瞬の当惑の後、リフは表情を硬くした。何かを警戒しているようにも見えた。

 しばしの沈黙の後、返って来たのはこちらの思惑をさらに探るような短い問いかけだった。

「……何故、そのようなご質問を?」

「今更過去の罪がどうのと問いただしているのではない。ただ個人的に知りたいだけだ」

 リフは黙って床に視線を落とした。無表情という、感情を隠すための仮面をつけて。


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